カタロンを歩く

これは、偉業の物語ではない。同じ大志と夢を持った二つの人生が、しばし併走した物語である。僕らの視野は狭く、偏りすぎていただろうか。僕らの結論は頑なすぎただろうか。 そうかもしれない。 南米放浪の旅は、想像以上に僕を変えた。僕は、少なくとも、もう昔の僕ではなくなっていた」

ーエルネスト 『モーターサイクルダイアリーズ』

旅をしたくなる一冊。そして南米に来ると読み返したくなる一冊。

ブラジル出張は大体1月から3月頃に日本を出発することが多く、約2日間かけて移動します。南半球は真夏。当然、身体はこの気温差についていけるはずがなく、まずサンパウロに到着と同時に薄っすら汗が滲み出ます。その後、早々にターミナルを移動しなければいけないのですが、残念ながらターミナル間の連絡通路は空調の効きが弱く、更に追い討ちをかけられます。

そして、その土地の匂いと自身の臭いが混ざり合った時、私は彼と自分を重ねるわけです。

カタロンはブラジル・ゴイアス州南部にある都市です。周辺は穀物や家畜といった農業が盛んで、三菱自動車(HPE)やジョン・ディア・トラクター社の工場があることでも有名な都市です。ウベランディア空港からカタロンまでは車で約1時間半、左右に広大な畑や牧草地を見ながらBR050を北上します。

カタロンの人口は11万983人(2020年)。面積は3,789平方キロメートル。

私の出身でもある愛知県瀬戸市の人口が12.9万人(2015年)。面積が326.5平方キロメートル。

非常に伝わりづらいかもしれませんが、都市の規模感はこんな感じです。

市内に観光名所的な場所はあまりなく、上げるとすれば一番高い丘の上にある小さな教会くらいでしょうか? こちらはカタロンを象徴する建物となります。中に入ることはできませんが、この場所から見る360度の景色は大変素晴らしく、風に流される雲を見ているとどこか気持ちを豊かにしてくれます。

家族や友人らとブラジルのことを話す際、よく聞かれるのが、「ブラジルだと肉料理(シュラスコ)ばっかりでしょ?」 という質問です。まあ、確かに肉を食べる機会は多いです。しかし、生野菜も豊富なのでバランスよく食べれば全く問題ありません。更に、この町には3~4軒の寿司バーがあるため、ホームシックになることもありません。そう、ティラピアの刺身、握りはまず日本で食べることはありませんので、ブラジルに行った際はぜひ一度試してください。おそらく好みは分かれると思いますが…。

私が初めてカタロンに行ったのは約15年ほど前になります。その頃から仕事を通じて知り合った友人らとは、今も時々連絡を取り合ったりしています。4〜5年周期で滞在することが多いのですが、彼らはそんな月日を感じさせないくらい、私たちをいつも家族のように暖かく受け入れてくれます。

そんな彼らが数年前から興味深いことを始めたので、ここで紹介したいと思います。

B Treza EC

「B13 – 13th Arrondissement」は2004年のフランス映画です。壁に囲まれた、さまざまな民族や信念の人々が暮らす地域の物語です。この映画に触発されて、B13スポーツ協会を誕生しました。創設者であるレアンドロ・カベソンは家族や友人とともに、スポーツと社会的な目的でこの組織を設立し、子供たちや経済的に弱い家族を支援し、そのための解決方法を見つけました。

サッカーチームとしてスタートし、現在では「家族」と「連帯」の価値観に責任を持つ人々で構成されています。チームカラーの青と白は愛と平和を象徴しています。

目標は、スポーツを子供や青少年を最善の道に導くための手段として使用することです。近年では多数の民間企業と提携して、近隣や周辺地域の子供や家族を支援しています。そして、さまざまな課題を提案して活動を進めています。

彼らが管理する敷地内にはサッカー場やバレーコートがあり、周辺地域の子供や青少年に開放しています。また、コミュニティスペースや大きな畑では、週末毎にビンゴゲームやイベントを開いて食事を提供したり、畑で収穫した野菜を地域の家族に配布したりしていました。ここで働くB13スタッフは全てボランティア活動によるものです。

今後、彼らの活動は中長期的に拡大と多様化を進めて、コミュニティ全体のモデルとして機能するよう恒久的な活動を目指して行きます。

Seja parceiro dos Projetos Sociais da Associação B13 Leandro Cabeção:

WhatsApp (64)999615706 – Clayton

https://www.instagram.com/b13_oficial.ec

エルネストが中南米を旅して目にした現実、その後の活動や思想が、70年以上経った今もさまざまな形で小さな冒険家を生み出しているように感じました。

以前であれば、休日の朝は決まってビールを片手に私を迎えに来るのですが、なんだかんだで午後から会う機会が増えたなと感じていました。今回、改めて彼らの活動を正しく知ることで、それは解決しました。

二日酔い以外だったら 「Bora bora」「Vamos beber !!!」 と連れ出してくれる親友クレイトンには、感謝してもしきれません。

いつもありがとう!

クレイトン、B13やカタロンの友人たちへ

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